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vol.5 みんなが一つの食卓を囲む未来を目指す『BEYOND FREE』 植物由来の食品の現在を学ぶプロの料理家5名の座談会がスタート! 【三井不動産 ✕ 料理王国アカデミー ✕ BEYOND FREE】

コンセプトの設計から都市実装まで、ワンストップで食の事業開発をサポートするプラットフォーム「&mog by Mitsui Fudosan」。今春、日本橋を拠点にスタートしたこのプロジェクトのキーワードは〝街で育む、未来の食〟。三井不動産が食に関わるパートナー企業と共に、新たなイノベーションを生み出すためのさまざまな活動を行なっています。

「&mog王国」では毎月開催されるプロジェクトのイベントや最新ニュースをご紹介。日本橋から始まる新しい食の潮流をレポートします!

植物素材を使用した「おからこんにゃくR」を使用したMEYOND FREEの「おからこんにゃくで作った カツ」。

料理王国アカデミーで料理家が植物由来の製品を試食
実際に味わうことで“おいしい”を実感

植物由来の商品も展開するブランド『BEYOND FREE』の試食会が、食の専門誌『料理王国』が主催する料理王国アカデミーで行われた。このアカデミーは、調理や食材に精通するシェフや生産者が料理家に技術や知識を伝え、参加した料理家達がその学びを活かしたレシピを考案する実践的な企画。今回もアカデミーに参加する料理家が集まり、『BEYOND FREE』の製品を試食、レシピを考案した。

この日集まった料理家は5名。冷凍食品で知られるテーブルマーク株式会社が新しく立ち上げたブランドで、植物由来の製品も扱う『BEYOND FREE』の製品4品を試食。後日、参加者がそれらを使用したレシピを考案する、という企画だ。今まさに注目されている植物由来の食材をより詳しく知るチャンスとあって、集まった料理家達も興味深い様子。

牛乳・豆乳レシピに取り組む小松友子さん、フレンチが得意なCitron ヨーコさん、管理栄養士の資格を持つ成澤文子さん、アスリートの食に詳しい堀口泰子さん、フレンチと日本料理の両方を手がける三島葉子さんなど、得意分野が違う5名の料理家からは、それぞれの目線を通して、試食した製品への意見や質問などが飛び交った。

この『BEYOND FREE』は、冷凍食品を始め様々な食品を扱うテーブルマーク株式会社の中でも、植物素材を用いた冷凍食品のブランドだ。同社・BEYOND FREE推進室の国貞佑介さんは、ブランドコンセプトをこう悦明する。

「私達がなぜ『BEYOND FREE』というブランドを立ち上げたのかを、まずお話させてください。今は健康面からの食事制限やアレルギー、ライフスタイルなど、様々な理由から食生活が複雑な時代になっています。だからこそ、そうした方々が同じ食卓を囲んで食事ができる、食のバリアフリー化を目指したい—-という思いから生まれたブランドなのです」

テーブルマーク株式会社の国貞佑介さん(右)と、同ブランドを推進するJT株式会社食品事業企画室の田代晶大さん(左)。
テーブルマーク株式会社の国貞佑介さん(右)と、同ブランドを推進するJT株式会社食品事業企画室の田代晶大さん(左)。

推進室が発足したのは2023年9月と、まだ新しい。そこで商品開発にプロの料理家の意見を聞いてみたい、というのが今回の狙いだ。『BEYOND FREE』では、卵、乳製品、肉類、塩分、糖質など、特定の食材や成分をカットした製品を開発している。またテーブルマーク株式会社が得意とする冷凍食品であるからこそ、ストックしやすく、電子レンジ調理など簡単に使えるところも魅力だ。

「からだに嬉しいこと。地球に優しいこと。どちらも大事ですが、食事の楽しみやおいしさも大切にしたい、というのも『BEYOND FREE』の理念です。製品はどれも味、ビジュアル、香り、食感などのおいしさにも自信を持っています」と国貞さん。

さっそく4品の試食が始まった。最初は、オンラインショップで一番の人気を誇る『おからこんにゃくで作ったからあげ』。

「こちらは豆乳の副産物であるおからと日本の伝統食・こんにゃくを組み合わせたサステナブル素材のおからこんにゃく®を使っています。冷凍することによってスポンジのような弾力が出て、肉を食べているような食感を感じられます」と国貞さんは説明する。なるほど一口かじると、もっちりとした食感とからあげらしい香りがある。白いご飯がすすみそうな味わいは、大人にも子供にも受けがよさそうだ。

「鶏肉と比較すると少し柔らかいように感じました。あらゆる世代に食べやすく作られているのでしょうね。鶏肉に寄せるならもう少し食べ応えがあってもいいですね」と小松さん。

「食物繊維も含まれているので、それを表示すると消費者の目にもとまりそうです」と、管理栄養士を持つ成澤さんは、栄養面から商品を見ている。

「このまま食べられるような味付けなので、すこし味が濃いように感じます。別の料理にアレンジするならこの味をいかすとよいのでは」という堀口さんは、後日『おからこんにゃくからあげの野菜たっぷりスープごはん』というレシピを提案。『おからこんにゃくで作ったからあげ』が持つ塩味を生かし、トマト、西洋野菜などを入れた彩り美しいスープごはんだ。『おからこんにゃくで作ったからあげ』は衣の食感を残すため、煮込みすぎないのがポイントだという。

「私も少し味が濃く感じました。なのでご飯と一緒に食べる丼やおにぎりはどうでしょう?」というのは三島さんだ。「私も丼をイメージしました。あと『からあげ天むす』や『海苔巻き』もよさそう」とは小松さん。

「味付けは誰にでも好まれる醤油ベースにしています。動物性のものを使っていないので、ものたりなくない様にしっかり味を付けています。おからこんにゃく®は冷凍するとスポンジ状になるため、中まで味が染みやすいので、味が入りやすいかもしれません。次は同じくおからこんにゃく®で作ったカツです。同じ素材ですが、からあげのとの食感の違いも味わってください」と国貞さん。

『おからこんにゃくでつくったカツ』は、こんがりときつね色の衣が食欲をそそる長方形のカツだ。試食用には切られていたが、実際は切られていないため、カツサンドなど活用法もアイデア次第で色々楽しめる。

「食感はいいですね。揚げ物なのにパパっと出せるので働くお母さんには嬉しい商品だと思います。でも夕食のおかずには少しボリュームが少ないかな。せっかくよい商品なので、どんなときに食べて欲しいか、ターゲットを考えてみるともっとよくなりそう」という堀口さん。「ロース肉のカツよりも小ぶりな形ですね。手軽に調理できるので、私はお弁当にぴったりだなと思いました。それから野菜と一緒にサラダ巻き寿司にしてもおいしそうです」と三島さん。「巻き寿司ならスティック型とか、お弁当には楕円型とかもあってもいいですね」と堀口さんが続けた。

「私はこのサイズはお子さんにはちょうどいいと思いました。野菜と合わせてお皿に盛り付ければボリュームも出るし、これ以上大きいとむしろ小さいお子さんには食べにくいかも」と、子供を持つ生徒さんが多いという成澤さんは、これなら生徒さんにもすすめたいという。「食感がよいですね。衣の味や油っぽさが少し気になるので『おからこんにゃくでつくったカツ ハーブ豆乳ヨーグルトソース』はどうでしょう? ヨーグルトや豆乳を使ったさっぱりしたソースと合わせて、サラダ用の野菜も添えておしゃれなメニューにしたいなと思いました」というのは、フレンチが得意なシトロンさんだ。

アレルギー特定原材料28品目不使用&グルテンフリーの「玄米ブレッド」。熊本県産玄米を丸ごとペースト化し使用している。

3番目に登場し、思わず参加者から「かわいい」と声が上がったのは『玄米ブレッド 』。食パン型ではなく、サイコロのようなコロンとした形が料理家たちの心をつかんだ。ベーカリーの商品のような形のパンは見た目も楽しく、ふんわり、もっちりと米粉とは思えない弾力もあっておいしい。

「栄養成分が多い胚芽部分も含めて、玄米を丸ごと使った米粉のパンです。アレルギー特定原材料等の28品目が不使用でグルテンフリー、アレルゲン対応を徹底したGFCO(グルテンフリー認証組織)の認証を受けた工場で生産していますので、小麦アレルギーの方にも安心して食べていただけます」と国貞さんはいう。

「モチっとした食感でおいしいですね。グルテンフリーは日本人に合うと考えていますので、米粉のパンはいいですね。豆乳ホワイトソースを使ってパングラタンにしてみたいです」と三島さん。「この形なら中をくりぬいて何かを詰めてもいですね。玄米パンは和食と相性がいいので、アボカドや納豆をこんもりと詰め、仕上げに豆乳チーズをのせてオーブンで焼いた『アボカド納豆 豆乳チーズファウンテン』はどうでしょう? オーブンで焼くことで少し気になった米粉由来のぬめりも解消されると思います」とシトロンさんは和素材を使ったレシピを提案。

「風味が良くて食べやすい印象です。この形だとトースターで焼きにくいのかなと思ったので、食パン型もあったらいいかなと思いました」と焼き方に注目したのは小松さんだ。

「ありがとうございます。トースターで焼いてもいいのですが、解凍してそのままおいしく食べていただけるところも特徴です。食べていただいたのはプレーンですが、このほかにあまくさ晩柑やブルーベリーなどのバリエーションもあり、好評です」と国貞さん。

人気商品の一つ「豆乳クリーム ロールケーキ」。写真のプレーンのほか、チョコとアールグレイの3種類を用意。

最後は、卵、乳不使用の『豆乳クリーム ロールケーキ』だ。

「こちらは自信作です。テーブルマークの技術で、原材料に小麦粉や卵を使っていないのに、ふっくらとしたスポンジ生地の食感をだしています。豆乳を使うと、大豆風味が気になるとよくいわれるのですが、独自のノウハウで違和感なく食べていただけると思います」と国貞さん。卵、乳が不使用のケーキはなかなかに難しいといわれるが、こちらは自信作というだけに完成度が高い。ふんわり、しっとりのスポンジ生地に、なめらかな豆乳クリームがたっぷり入っている。

「これはいいですね。アレルギーのお子さんがいるとおやつに気を使いますが、冷凍しておけるからストックしやすいし、解凍してすぐに食べられるのも便利。アレルギーのお子さんとそうでないお子さんが一緒に同じおやつを食べられるのはうれしいことですね」と成澤さんは気に入った様子だ。

「お子さんにはちょうどいいのですが、大人には少し甘いかなと思いました。甘さが気になる方は、フルーツをのせるなどアレンジを加えてもよさそうですね」と堀口さん。それを受けて、小松さんも「イチゴなどを飾ってデコレーションケーキにもできますね!」。

「ほんとうにそうですね! アレンジしやすいので飲食店などでも使いやすそう」とは成澤さんだ「トライフルにしてもいいですね。それなら大人にもおすすめしたいです」というのは三島さんだ。

今回、試食対象となった4商品。このほか、麺や炒飯などもラインナップしている。

4つの製品の試食が終わって、植物由来の製品への印象が変わったという5名。「おいしく食べる場に参加できてよかった」「おいしくないというイメージがガラリと変わった」「これからもこういう商品が増えて欲しい」「誰もがとっつきやすい製品で親しみやすい」といった前向きな感想が多かった。また、今回考案したレシピを、料理教室でもぜひ生徒さんにも伝えていきたい、意欲的に取り組みたいと話す。

「&mog by Mitsui Fudosan」がハブとなって、食の新技術が料理教室を持つ料理家から生活者へと伝わり、生活に実装されるあしがかりとなっていくのだ。

■クレジット
text:Jun Okamoto
photo:Yukako Hiramatsu

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