&mog 王国
2024.05.02

vol.1 【Earth hacks×三井不動産】
コレド室町仲通りで
脱炭素をテーマとした
「デカボフードマルシェ」を開催!

コンセプトの設計から都市実装まで、ワンストップで食の事業開発をサポートするプラットフォーム「&mog by Mitsui Fudosan」。今春、日本橋を拠点にスタートしたこのプロジェクトのキーワードは〝街で育む、未来の食〟。三井不動産が食に関わるパートナー企業と共に、新たなイノベーションを生み出すためのさまざまな活動を行なっています。
「&mog王国」では毎月開催されるプロジェクトのイベントや最新ニュースをご紹介。日本橋から始まる新しい食の潮流をレポートします!

「デカボフードマルシェ」を運営するEarth hacks株式会社の石﨑健太さん(右)と増岡勝太さん(左)。

「デカボフードマルシェ」を運営するEarth hacks株式会社の石﨑健太さん(右)と増岡勝太さん(左)。

デカボで知る〝食の新しい価値観〟を日本橋から発信

最近よく聞くようになった「脱炭素」。温室効果ガスを減らし、地球温暖化の被害を最小限にくいとめようという地球規模での取り組みだ。日本では現在、年間12億tを超える温室効果ガスを排出しているが、2050年までにはこれを実質ゼロにするという目標が掲げられており、国民一人ひとりのライフスタイルにも転換が求められている。

「脱炭素というと、少し堅苦しいですよね」と笑うのは、今春、日本橋・室町で開催された『デカボフードマルシェ』を運営するEarth hacks株式会社・マーケティング企画部の石﨑健太さんだ。
「デカボは英語の脱炭素を意味するデカーボナイゼーション(Decarbonization)の略称です。誰もが楽しく取り組めるように合言葉を作りたい、という思いから生まれた言葉なんです」と続けた。

脱炭素社会を推進する共創型プラットフォーム・Earth hacksと三井不動産が手がける「デカボフードマルシェ」は、脱炭素食品を出展するマルシェ。近年、アパレルでの取り扱いも多いという脱炭素商品だが、手に取って気軽に買えるという意味では食品のようなアイテムが広まりやすいという。

そしてまた、このマルシェは日本橋を拠点とする三井不動産が今春からスタートさせた食のイノベーションプロジェクト『&mog by mitsui Fudosan』の一環として開催されたものだ。
たとえ社会的に意義のある食の新技術やそれを活用した商品があっても、それを人々や街に浸透させることはメーカーだけでは難しい。そこで三井不動産では同社のもつ商業施設を活用し、マルシェで商品やサービスを広める機会を作ったり、展示会での商談を創出するなどし、食の事業開発や規模拡大を積極的にサポートしている。
今回のマルシェ開催にも、単に商品を販売するだけでなく「サステナブルな食の新しい価値体験を日本橋エリアで提供したい」という思いが込められているのだ。

脱炭素への貢献度が一目でわかる〝デカボスコア〟で商品を選ぼう!

従来品と比べどれくらい低炭素化なのかを数値化した「デカボスコア」が表示された商品。

従来品と比べどれくらい低炭素化なのかを数値化した「デカボスコア」が表示された商品。

「学生達によるプラントベースフードプロジェクト『〇食ーWashokuー』が出展したパウンドケーキは、トッピングのクリームは植物油脂由来。
「学生達によるプラントベースフードプロジェクト『〇食ーWashokuー』が出展したパウンドケーキは、トッピングのクリームは植物油脂由来。

学生達によるプラントベースフードプロジェクト『〇食ーWashokuー』が出展したパウンドケーキは、トッピングのクリームは植物油脂由来。

「『デカボフードマルシェ』の開催は今回で2度目です。7つの企業に加え、学生達のアイデアから生まれたプラントベースフードのプロジェクト『〇食ーWashokuー』が参加しています。また、見ていただくとわかりますが、販売している商品には一目でわかるようにデカボスコアを表示しているんですよ」と石﨑さん。

デカボスコアとは、従来品に比べて排出二酸化炭素相当量がどの程度減っているかを数字で表すもの。何%オフと表示され、一目で“脱炭素への貢献度”が伝わる仕組みだ。
脱炭素の軽減率の調査には数カ月という長い期間が必要となるため、二の足を踏む企業も少なくなかったという。しかしデカボスコアなら1ケ月という短期で算出できるのが特徴だという。

今回の『デカボフードマルシェ』では、国分グループ本社の『プラントベース コンビーフスタイル』やKOME'S(コメズ)のグルテンフリー『米粉ベーグル』など、様々な商品が出展されていた。中でも注目を集めたのが『Earth hacksデカボチャレンジ2023』から生まれたという「〇食ーWashokuー」ブースだ。

『Earth hacksデカボチャレンジ』は、企業の現場社員とインターンに応募した大学生が、脱炭素に関連する課題解決に取り組むビジネスコンテスト。『〇食ーWashokuー』はそこから立ち上がったプロジェクトだという。背景には、食品アレルギーに由来する給食での分離食体験や、カロリー制限で友人と食事に行けなかった、といった学生それぞれの経験や悩みがある。
そこから「食に制限のある人達も一緒に楽しめるものを作ろう」と、プラントベースフードの開発にたどり着いたそうだ。

今回の『デカボフードマルシェ』では、ホワイデーを意識したスイーツに取り組んだ。
学生達のアイデアをもとに食文化研究家の長内あや愛さんが監修したのは、米粉を使用した『やさしい抹茶パウンドケーキ』(400円)。当日はキッチンカーでの販売で、購入時に植物油脂由来のホイップクリームとチーズクリームという2つのプラントベース商品からトッピングが選べるようになっていた。プラントベースフードといった、社会課題解決に繋がる次世代食材を広く浸透させることも『&mog by mitsui Fudosan』の役割の一つであるという。

「じゃあまずは『デカボフードマルシェ』でデカボスコアを計算して販売するところからスタートしてみませんかと、足踏みしているメーカーさんに一歩踏み込んでもらうきっかけにもなります」と石﨑さんは続けた。

日本橋を舞台に今後も活動を広げたい

日本橋を舞台に今後も活動を広げたい
来場者は日本橋界隈に住む人、働く人、ショッピングに来た人など様々。学生達の説明にじっくりと耳を傾け、商品を手にとっていた。
来場者は日本橋界隈に住む人、働く人、ショッピングに来た人など様々。学生達の説明にじっくりと耳を傾け、商品を手にとっていた。

来場者は日本橋界隈に住む人、働く人、ショッピングに来た人など様々。学生達の説明にじっくりと耳を傾け、商品を手にとっていた。

「渋谷などのイベントでは20代の来場者が圧倒的に多いのですが、日本橋は30~50代くらいの方が多いですね。なので皆さん丁寧に説明を聞いてくださって、商品のストーリーにも興味を持っていただいたな、という印象です」と話すのは『Earth hacksデカボチャレンジ2023』を運営する博報堂ミライの事業室・増岡勝太さんだ。

確かに、訪れる人々を見ているとマルシェを訪れる客層や年代が幅広い。平日の昼はオフィス街に通うビジネスマン、開催二日目の休日には近隣の住人やショッピングに訪れる人々でにぎわっていた。日本橋のなかでも多くの人が行き交う「コレド室町仲通り」で開催されたこともあり、道行く人がふらりと立ち寄れる、そんな気軽さもいいのだろう。

「日本橋は有名な飲食店や老舗がたくさんあり、食との相性がいい街です。食をテーマにしたイベントでデカボを広めていく場所として、これからも日本橋を舞台にできればいいなと思っています」と石﨑さんは期待を寄せる。

今後も定期的な開催を目指すという『デカボフードマルシェ』。将来的にはスーパーやコンビニなど、人々が手に取りやすい場所での脱炭素食品の販売も視野に入れているという。まだ準備段階のデカボ商品も多数とあって、これからどんな商品が登場するのかも楽しみだ。

text:Jun Okamoto
photo:Shingo Umezu